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実に8年ぶりに起用された……、けれど

地上の星/ヘッドライト・テールライトの素晴らしさは実際に聞いてみないとわからない。なのでまた聴いたことがない人は是非とも一度聴いてみてください、そう言おうとしてある日突然にも耳にすることがあった。そこでは地上の星ではなく、エンディングテーマとして採用されたヘッドライト・テールライトの方だ。相変わらず名曲だなぁと、中島みゆきさんの歌声にしんみりしつつ筆者は、爆笑していた。

なにかおかしい単語が混ざっているという指摘をする人もいるでしょう、それはこっちのセリフです。そもそもどうしてこんなところで、こんな名曲を面白おかしく使ってしまうのかと言いたくなったほどだ。起用されたのはテレビの番組だが、作品の世界観とはまったくもって釣り合わないコメディ作品となっている。いきなり曲が流れだした時はぎょっとしたものだ、何せ全く予期していないところから登場したのだが、あとから考えると納得してしまった。

本来ならしてはいけないのだが、するしかないのが2011年に放送されていたアニメ『日常』という作品の19話でのこと。ここで初めて同作品の楽曲を知ったという人も多いのではないか。

楽曲が流れるまでの流れとして

爆笑したといったが、何せ楽曲がBGMとして流れる一方で映像では素っ頓狂な展開が繰り広げられていたからだ。それなのに妙にしっくり来て、しかもきちんとオチを付けてしまったのが凄い。総評すると『ヘッドライト・テールライト=日常、後の魚雷跳び、である』だろう。ねえよ!? と付け足しておく。

そもそもどうしてこの楽曲が流れだすことになったのかというと、経緯としては主要キャラである相生祐子と長野原みおの女学生2名が放課後の校庭で棒高跳びの練習をしていた。練習しているのはみおの方で、友人の祐子ことゆっこは彼女の動向を見守る。そして肝心のジャンプ、両足揃えてのジャンプでバーすら飛び越えていなかった。みお本人は成功したと喜んでいるが、ゆっこはすぐさまダメだと否定する。

しかもこの時にはゆっこが何度も指導したのに直らないため焦りを感じつつ、みおはそんなゆっこに申し訳なくなる。しかし二度目のジャンプでも失敗してしまい、ゆっこは怒りを露わにする。みおの釈明を聞いて、彼女の飛び方を『魚雷』と称する。そんな涙ながらの糾弾をしているのだが、当人は完璧なジャンプをしていると勘違いしている始末。その態度に呆れて物が言えなくなるが、それでも成功するまで付き合うという。

女同士の友情にしんみりと来るみお、ここで彼女のこれまでの運動音痴(?)な回想が入る。同時に、ここでヘッドライト・テールライトが流れだしたため、視聴者は恐らく『――へっ、なっ中島みゆき!!??』と思ったはず。筆者がそうだった。

運動音痴というのかなんとやら

みおは運動が得意ではないと自負している、そのために体育の授業も散々な結果だというが、彼女の場合は運動神経そのものは卓越している。けれどその使い方がどうにもぶっ飛びすぎているのだ。この回想でも、

サッカーの授業が、彼女の中ではラグビーになる

柔道の受け身で、空中で1回転してうつ伏せの状態で地面に落ちる

鉄棒で逆上がりをするはずが、プロペラをしてしまう

という感じになっている。ある意味運動音痴だが、音痴というには随分な斜め上な行動ばかりしている。その都度ゆっこが彼女の行動を諌めているのだが、それでも直らない。

回想シーンが流れつつ、棒高跳びを懸命にしながら胸中を語るみお。背景には中島みゆきのヘッドライト・テールライト、元々コメディ作品だが、BGMと画面があまりに釣り合っていないさまを見て笑い狂っていた記憶しかない。正直今でもあのシーンを思い出すだけで笑いがこみ上げてきてしまうほどだ。

結果は

様々な思いが入り乱れる中、決死の覚悟とばかりに踏み込んだみおはもはや棒高跳びをするのではなく、何故かゆっこの鳩尾めがけて頭突きタックルをかます。想像できるわけもない攻撃を受けて倒れるゆっこ、一方で何が起きたのか理解していないみお。そんな彼女の背後からゆっこは仕返しに頭突きタックルを背中にかました。

断末魔の叫びを上げつつ、みおは棒高跳びの理想的な飛び方でバーを飛び越えて成功する。奇しくもこれが初めての成功であり、こうでもしなければみおは棒高跳びは出来なかった。後に語られる、これこそが日常名物、『後の、魚雷跳び、である』という名シーンになった。

挑戦者たちという副題に掛けて

プロジェクトXの番組副タイトルには『~挑戦者たち~』が入っている。日常で用いられるようになったのは、みおが懸命に棒高跳びを成功させようとするところにちなんだことから、パロディ作品的に採用されたという見方が一般的。正しい、確かに正しいが名曲をBGMとして使うのはいいとしても、無駄遣いと言われ、更にはあの曲を聴きながらこんなに笑うとは思わなかった。本来プロジェクトXで爆笑するシーンなんてないのだが、日常という作品にかかれば、ヘッドライト・テールライトも面白おかしくしてしまえるのだろう。

原作でも屈指の人気が高い、日常の魚雷跳び、一度見て貰えればわかるが本当に、笑えます。